内田鉄工所

力強く、温かい。木の香る仕事場。2024.10

内田社長の鉄工所に併設する事務所の空間には、木のぬくもりが溢れています。
梁や柱を見せる大胆なデザインで、訪れる人が温もりを感じる場所を実現。
僕と内田社長で創り上げた、信頼と挑戦の完成形。

内田社長
小川さんと話をしている様子の写真

初めて内田社長から声をかけられたとき、正直驚きました。これまでうちの工務店は住宅をメインに手がけてきましたが、今回の依頼は少し違っていました。通常の家づくりとは異なる挑戦ですが、内田社長がわざわざ僕たちに声をかけてくれたことが嬉しく、その期待に応えたいと思いました。

内田社長とは以前から何度か仕事をご一緒したことがあり、リフォームや改修工事の依頼をいただくこともありました。しかし、今回の規模はその延長とは言えません。「任せるよ」という内田社長の言葉の裏に感じたのは、「頼むぞ」という無言の信頼でした。

屋外の写真

内田社長の要望のひとつは「木材を活かした空間」だと聞いて、どこかほっとしました。内田社長も木の温かみが好きな方で、僕たちの得意分野を理解してくれています。このプロジェクトでは、ただ機能的な事務所を作るだけでなく、訪れた人が温かみを感じられる場所を提供することが求められていました。木のぬくもりを重視し、梁や柱もそのまま見せるデザインを提案しましたが、内田社長もすぐに賛同してくれました。「釘が見える構造でもいいんじゃないか」と言っていただいたときは、正直嬉しかったです。普通は見えない部分も見せることができる。建物自体がまるで無骨な木の彫刻のように存在感を持つことを想像して、わくわくしたのを覚えています。

内観写真 釘が見える構造でもいいんじゃないかの写真

しかし、実際の工事は決して平坦なものではありませんでした。住宅とは違い、この規模の建築には多くの職人さんが必要です。彼らを集め、連携を取り、チームとして動かしていくのは思った以上に大変でした。しかし幸運なことに、集まった職人さんたちはこのプロジェクトに共感し、互いに協力してくれました。チームが一丸となり、各自が高いプロ意識を持って取り組んでくれたおかげで、順調に工程が進みました。

それでもいくつかの壁にぶつかることはありました。内田社長から「任せる」と言われた責任は大きいし、特に細部で迷うこともありました。しかし、内田社長とのやり取りの中で自然と自信が持てるようになり、内田社長が言葉にしない思いを読み取りながら進めていきました。

会議室の写真

完成した建物を内田社長に見ていただいたとき、満足そうに「想像通りの仕上がりだ」とつぶやいてくださったその一言に、僕は心から安堵しました。プロジェクトを通じて内田社長の信頼に応えることができたという実感が胸を満たしました。
この建物を作り上げた職人さんたちや内田社長との信頼関係は、これからも僕たちにとってかけがえのない財産だと思っています。どんな建物を建てるかよりも、誰と一緒に作るかが大切だと改めて感じました。

建築概要

施工種別
新築工事
施工箇所
920㎡(279坪)
所在地
須坂市
見どころ
内壁の無垢羽目板 格子階段 CLTを利用した耐震強化